
こんにちは、行政書士の生駒一彦です。今回は、個人事業から法人化を検討している建設業の方々に向けて、「事業目的」の重要性について解説します。建設業許可の取得や税務、将来的な事業展開にも関わる、実はとても重要なポイントです。
そもそも「事業目的」とは?
法人設立時に必ず定款に記載する項目のひとつが「事業目的」です。これは、その法人が何の事業を行うのかを示すもので、法務局への登記にも必要になります。簡単に言うと、「この会社は何をやるために存在しているのか?」を示す宣言文のようなものです。
なぜそんなに重要なのか?
1. 建設業許可が取れない!?
建設業は、許可制の業種です。そのため、法人の事業目的に「建設業を営む意思」が明確に記載されていなければ、許可申請が受理されません。
例:「建設工事の請負及び施工」
「土木工事、とび・土工工事、管工事 等」※該当する業種ごとに具体的に
2. 許可取得後の変更にもリスクが
許可取得後に事業目的を削除してしまうと、更新時に「目的が一致していない」と判断され、最悪の場合は更新が認められないリスクもあります。
3. 銀行や取引先の信頼にも影響
登記簿にない業種で営業していると、金融機関や取引先から「この会社、何をしているの?」と疑念を持たれることも。信用に関わる話です。
4. 税務調査で損金否認される可能性も
事業目的外の活動にかかった人件費や外注費、広告費などは、「本来の事業と関係ない」と判断され、経費として認められないリスクがあります。
実際にあった損金否認のケース
ケース | 損金否認リスク |
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飲食業が目的外のIT事業を開始 | 開発費・人件費が否認対象 |
不動産業が目的外の太陽光発電事業に出資 | 投資額全体が否認の恐れ |
建設業許可前に工事請負契約を締結 | 関連費用が目的外と判断 |
どうすればいい?リスクを避けるためのポイント
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法人設立前に、定款目的をしっかり設計すること!
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建設業を営む場合、「建設工事の請負及び施工」などの明確な記載が必要です。
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附帯業務も忘れずに
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将来的な事業展開を見据え、「上記に附帯関連する一切の業務」などの文言を入れておきましょう。
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活動の関連性を証明できる書類を整備
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稟議書、取締役会議事録、事業報告書などで「なぜこの活動が本業と関連しているのか」を記録しておくと、税務署への説明資料になります。
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定款変更は株主総会の特別決議が必要
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設立後に目的を追加・変更する場合は、手間とコストがかかるため、設立時にしっかり準備しましょう。
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まとめ
法人の「事業目的」は、単なる形式的なものではありません。
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建設業許可の取得・維持
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税務上の経費算入
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与信・信用力の維持
こうした実務に大きく影響します。将来的な展開も見据え、しっかりと計画的に設計することが大切です。法人化や事業目的の設計で不安がある方は、ぜひ専門家にご相談ください!