埼玉県の建設事業者が知っておくべき3つの重要ポイントと対応策
「2025年12月に建設業法が大きく変わったと聞いたけど、うちの会社は何をすればいいの?」
「建設業許可への影響は?罰則はあるの?」
埼玉県で建設業を営む経営者の皆さま、こんな不安を抱えていらっしゃいませんか?
私は埼玉県で建設業許可申請を専門に扱う行政書士として、日々多くの建設事業者の方々とお話しする機会があります。2025年12月に完全施行された建設業法改正について、現場では「内容がよくわからない」「何から手をつければいいのか」といったご相談が急増しています。
この記事では、建設業法改正の全体像から具体的な対応策まで、建設事業者の皆さまが知っておくべき情報を、行政書士の視点からわかりやすく解説します。最後までお読みいただければ、法改正への不安が解消され、今すぐ取るべきアクションが明確になるはずです。
1. 2025年建設業法改正とは?全体像を理解する
2025年12月12日に完全施行された建設業法改正は、建設業界にとって極めて重要な転換点です。この改正は「持続可能な建設業の実現」を目的としており、業界が長年抱えてきた構造的な課題に正面から取り組むものです。
なぜ今、建設業法が改正されたのか?
建設業界は現在、深刻な人手不足に直面しています。就業者の高齢化が進み、若い世代の入職者は減少の一途をたどっています。その背景には、長時間労働や低賃金、不適切な取引慣行といった、業界特有の問題がありました。
国土交通省の調査によれば、建設業就業者の約3割が55歳以上である一方、29歳以下は約1割に過ぎません。このままでは、技術の継承もままならず、業界全体が立ち行かなくなる恐れがあります。
こうした危機的状況を打開するため、今回の建設業法改正では「労働者の処遇改善」「資材高騰による労務費圧迫の防止」「働き方改革の推進・生産性向上」という3つの柱が立てられました。
改正の3つの柱とは
【柱1】労働者の処遇改善・担い手の確保
適正な賃金の支払い、著しく低い見積りの禁止、原価割れ契約の禁止など
【柱2】資材高騰による労務費圧迫の防止
資材高騰の「おそれ情報」通知義務化、価格転嫁協議の円滑化など
【柱3】働き方改革の推進・生産性向上
工期ダンピング対策の強化、ICTを活用した現場管理の効率化など
それでは、それぞれの柱について詳しく見ていきましょう。
2. 【柱1】労働者の処遇改善と担い手確保|原価割れ契約禁止の衝撃
建設業界で長年問題視されてきたのが、不当に低い価格での受注です。今回の改正では、この慣行に明確な「NO」が突きつけられました。
著しく低い見積りが禁止に
見積作成の際に著しく低い見積り・見積り依頼が禁止されました。違反すると、国土交通大臣等から勧告・公表される可能性があります。
「著しく低い」とは、具体的にはどの程度を指すのでしょうか?中央建設業審議会が作成した労務費の基準を下回るような見積りは、明らかに問題となります。発注者側も受注者側も、この基準を意識した見積作成が求められます。
受注者に対する原価割れ契約の禁止
特に注目すべきは、受注者に対しても原価割れで受注することが禁止された点です。これまでは発注者側の行為が主に規制されてきましたが、今回の改正で受注者自身も「安値受注」をしてはいけないことが明文化されました。
「仕事が欲しいから」「次の案件につながるから」といった理由で原価割れの契約を結ぶことは、もはや許されません。これは、業界全体の健全化を目指す重要な一歩です。
労務費の基準作成と勧告
中央建設業審議会が労務費に関する基準を作成し、勧告しています。この基準は、適正な賃金水準を確保するための重要な指標となります。建設事業者の皆さまは、この基準を参考に、自社の労務費設定が適正かどうかを確認することをお勧めします。
労働者の処遇確保が努力義務化
建設業者は、労働者を公正に評価し適正な賃金を支払うなど、適切な処遇を確保する措置の実施に努めるよう定められました。そして、国はその取り組み状況について調査・公表し、中央建設業審議会へ報告することとなりました。
つまり、「ウチは小さい会社だから関係ない」というわけにはいきません。規模の大小に関わらず、すべての建設業者が適正な処遇確保に取り組む必要があるのです。
3. 【柱2】資材高騰対策|価格転嫁協議が円滑化される仕組み
近年、資材価格の高騰・高止まりが続いており、建設業者の経営を圧迫しています。しかし、これまでは価格転嫁がスムーズに進まず、その分が労務費に「しわ寄せ」される形となっていました。今回の改正では、この問題に対する具体的な仕組みが導入されました。
契約前のルール:資材高騰に備えた契約書への明記
受注者にとって、資材高騰などにより請負金額を変更したい場合に備えて、資材高騰に備えた請負金額の変更方法を契約書に記載することが明確化されました。
これは非常に重要なポイントです。契約書に変更方法が明記されていなければ、後から価格転嫁の協議を求めても、なかなか応じてもらえないケースがあります。契約書のひな形を見直し、必ず資材価格変動に関する条項を盛り込むようにしましょう。
「おそれ情報」の通知義務
受注者は資材高騰の「おそれ情報」を注文者に通知しなければなりません。
「おそれ情報」とは、資材の供給不足や遅延、価格高騰などのリスクに関する情報です。重要なのは、この情報には客観性のある統計情報などが必要だという点です。例えば、国や業界団体の資料、下請業者の記者発表などが該当します。
具体例としては、「自然災害により工場が被災→資材の需給バランスが崩れ価格高騰につながる」といったケースです。こうした情報をキャッチしたら、速やかに注文者に通知する義務があります。
契約後のルール:価格転嫁協議の円滑化
資材高騰などが実際に起こった場合、契約前に定めた「請負金額の変更方法」に従って、受注者から注文者に対して請負金額の変更を協議することができます。そして、注文者はこの協議に誠実に対応する努力義務が定められました。
注文者が「協議を正当な理由なく拒否」したり、「協議開始をあえて遅延」したりする行為は、誠実に対応していないとみなされる可能性があります。
これにより、資材高騰分の価格転嫁協議が円滑化し、下請業者が適正な利益を確保できる環境が整いつつあります。
4. 【柱3】働き方改革と生産性向上|工期ダンピング禁止とICT活用
建設業では、短い工期による長時間の時間外労働が問題となってきました。今回の改正では、生産性を向上させ、働き方も変えていく方針が明確に示されました。
工期ダンピング対策の強化
これまで注文者に対しては工期ダンピングが禁止されていましたが、新たに受注者に対しても非現実的な工期での受注が禁止となりました。
工期が不足すると、休日出勤や早出・残業など、作業員に大きな負担がかかります。こうした事態をできるだけ防ぐために定められたのが、この規定です。違反した建設業者には指導・監督が行われる可能性があります。
「仕事が欲しいから無理な工期でも受ける」という考え方は、もはや通用しません。自社の施工能力を正確に把握し、適正な工期での受注を心がけましょう。
工期変更協議の円滑化
受注者が契約前に「おそれ情報」を注文者に通知することが義務となりました。また契約後には、受注者から注文者に対して工期変更の協議ができ、注文者は誠実に協議に応じる努力義務があります。
これは、資材高騰対策と同様の仕組みです。予期せぬ事態が発生した際に、工期を適正に調整できる環境が整えられました。
現場技術者の専任義務の合理化
請負金額によっては、現場技術者の兼任が可能、もしくは専任不要となりました。2025年2月には、専任不要となる金額要件も引き上げられています。
兼任の要件には、ICTを活用して遠隔からでも現場確認が可能であることが定められています。これは、次に説明するICT活用の推進と密接に関連しています。
ICTを利用した現場管理効率化
多くの下請け業者を使う建設業者や公共工事受注者に対しては、効率的な現場管理が努力義務化されました。国は現場管理の指針を作成しており、ICTを活用した現場管理が当たり前の時代になっていくことが予想されます。
ICTとは情報通信技術のことで、建設業においてはドローンや3Dスキャナ、ウェブカメラ、建設用ロボットなどの導入が具体例として挙げられます。
特に3D測量は、従来の測量とは異なり、広範囲にレーザーを照射することで3次元の敷地情報を取得できます。これにより、再測量が必要だった場面でも現場に出向くことなく情報を確認できるため、大幅な効率化が期待できます。
5. 埼玉県の建設業許可にも影響!特定建設業許可の金額要件変更
今回の改正では、建設業許可に関する金額要件も変更されました。埼玉県で建設業を営む事業者の皆さまにとって、これは見逃せない変更点です。
特定建設業許可を要する下請代金額の変更
改正前:4,500万円(建築工事業:7,000万円)
改正後:5,000万円(建築工事業:8,000万円)
この変更により、これまで特定建設業許可が必要だった工事の一部が、一般建設業許可でも受注可能になりました。逆に言えば、これまで一般建設業許可で対応できていた事業者も、今後の事業拡大を見据えて特定建設業許可の取得を検討する良い機会かもしれません。
施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の変更
改正前:4,500万円(建築一式工事:7,000万円)
改正後:5,000万円(建築一式工事:8,000万円)
施工体制台帳の作成義務も、金額要件が引き上げられました。これにより、一部の工事では事務負担が軽減される可能性があります。
専任の監理技術者等を要する請負代金額の変更
改正前:4,000万円(建築一式工事:8,000万円)
改正後:4,500万円(建築一式工事:9,000万円)
専任の監理技術者が必要となる金額要件も引き上げられました。これは、建設工事費の高騰を踏まえた現実的な調整と言えるでしょう。
特定専門工事の対象となる下請代金額の変更
改正前:4,000万円
改正後:4,500万円
これらの金額要件の変更は、建設業許可申請にも影響を与えます。「今の許可区分で今後も対応できるのか」「特定建設業許可への変更が必要か」といった点を、この機会に確認されることをお勧めします。
6. 建設Gメンによる監視強化|違反したらどうなる?
今回の法改正で特に注目すべきなのが、「建設Gメン」による監視強化です。
建設Gメンとは?
建設Gメンは、国土交通省が配置する建設業法令の遵守状況を監視する専門職員です。請負契約について実地調査を行い、改善指導を通して取引の適正化を推進しています。
法改正後は、この建設Gメンによる監視がさらに強化されており、「知らなかった」「うっかりしていた」では済まされない状況になっています。
違反した場合の罰則
建設業法改正の規定に違反すると、以下のような行政処分の対象となる可能性があります:
・国土交通大臣や都道府県知事による指示処分
・営業停止処分
・建設業許可の取り消し
特に営業停止処分や許可取り消しとなれば、事業継続に重大な影響が及びます。埼玉県内で建設業を営む事業者の皆さまは、コンプライアンス意識を高め、法令遵守を徹底することが不可欠です。
7. 建設事業者が今すぐ取るべき5つの対応策
では、建設事業者の皆さまは具体的に何をすればよいのでしょうか。今すぐ取り組むべき5つの対応策をご紹介します。
【対策1】契約書・見積書ひな形の更新
法改正に対応した新しい契約書・見積書のひな形を準備し、社内で共有することが不可欠です。
国土交通省が公表する最新の標準約款や標準見積書を参考に、法務担当者や顧問弁護士とも相談しながら、自社の実態に合ったひな形を作成しましょう。特に、資材価格の変動に関する条項は必須項目です。
【対策2】勤怠管理・就業規則の見直し
時間外労働の上限規制を遵守できる体制の構築が急務です。
・36協定の再確認と見直し
・タイムカードやICカード、PCのログイン・ログオフ記録など、客観的な労働時間把握の仕組み構築
・就業規則の改定(時間外労働や休日労働に関する規定)
【対策3】ICTの導入検討
生産性向上のため、ICT活用が推奨されています。
「ICT」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、アウトソーシングでの3D測量などは比較的導入しやすい選択肢です。何度も現場に出向く手間を省くことができ、高精度の現地情報をパソコン上で確認できます。
【対策4】社内研修の実施
法改正の内容を、経営層だけでなく現場の責任者や営業担当者にも周知することが重要です。
特に、「原価割れ契約の禁止」「工期ダンピングの禁止」「おそれ情報の通知義務」といった新しいルールについては、全社的な理解が必要です。
【対策5】建設業許可の確認と見直し
金額要件の変更により、現在の許可区分で今後も対応できるのか、確認が必要です。
特定建設業許可への変更が必要なケース、逆に一般建設業許可で十分なケースなど、自社の事業規模や今後の展開を踏まえて検討しましょう。
8. 行政書士が教える!建設業許可申請への影響と注意点
建設業許可申請を専門とする行政書士の立場から、今回の法改正が許可申請に与える影響と注意点をお伝えします。
新規申請・更新申請時の注意点
建設業許可の新規申請や更新申請の際には、法改正に対応した体制が整っているかが審査のポイントとなります。
特に、労働者の処遇改善に関する取り組み状況や、ICT活用の方針などについて、申請書類で明確に示すことが求められるケースが増えていくでしょう。
変更届出の重要性
建設業許可を取得している事業者は、一定の事項に変更があった場合、変更届出を提出する義務があります。
法改正に伴い社内規程や契約書ひな形を変更した場合、その内容によっては変更届出が必要になる可能性があります。届出を怠ると、許可の更新時に問題となることがありますので、注意が必要です。
埼玉県での建設業許可申請のポイント
埼玉県で建設業許可を申請する場合、県の建設業課または各地域振興センターに申請書類を提出します。
法改正に関する最新情報は、埼玉県のホームページでも随時更新されていますが、専門的な内容も多く、自社だけで対応するのは難しいケースもあります。不安な点がある場合は、建設業許可申請に精通した行政書士に相談されることをお勧めします。
建設業許可の取消しリスク
今回の法改正により、コンプライアンス違反に対する監視が強化されています。
重大な違反があった場合、最悪のケースでは建設業許可の取消しとなる可能性もあります。許可を失えば、500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の工事を請け負うことができなくなり、事業継続に深刻な影響が及びます。
「ウチは大丈夫」と思わず、今一度、自社の取引慣行や契約内容を見直すことが重要です。
9. まとめ|法改正をチャンスに変える
2025年12月に完全施行された建設業法改正は、建設業界にとって大きな転換点です。この記事でお伝えした内容を、改めて整理しましょう。
【改正の3つの柱】
✅ 労働者の処遇改善・担い手の確保(原価割れ契約禁止など)
✅ 資材高騰による労務費圧迫の防止(価格転嫁協議の円滑化)
✅ 働き方改革の推進・生産性向上(工期ダンピング禁止、ICT活用)
【金額要件の変更】
特定建設業許可や専任技術者が必要となる金額要件が引き上げられました。
【建設Gメンによる監視強化】
違反した場合、指示処分や営業停止、許可取り消しなどの行政処分の対象となります。
【今すぐ取るべき対応策】
1. 契約書・見積書ひな形の更新
2. 勤怠管理・就業規則の見直し
3. ICTの導入検討
4. 社内研修の実施
5. 建設業許可の確認と見直し
今回の法改正は、確かに建設事業者の皆さまにとって新たな負担となる面もあります。しかし、視点を変えれば、これは業界全体を健全化し、魅力的な職場環境を作り上げるための大きなチャンスでもあるのです。
「法律が変わるから仕方なく対応する」のではなく、「自社と従業員、そして業界全体をより良くするための機会」と捉えて、前向きに取り組んでいきましょう。
適切に対応すれば、優秀な人材の確保につながり、取引先からの信頼も高まり、結果として自社の競争力向上にもつながります。
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